
近年、ANAのスーパーフライヤーズカード(SFC)を取得するためのSFC修行やダイヤモンドステータスを取得・継続するためのDIA修行において海外発券という手法が流行していますね。
僕自身は4年ほど前に先輩ブログの記事を読んで「すごいな〜」「海外発券なんて難しそうだな(汗)」「毎年何回も海外行かないと行けないのか〜」なんて思いながら、その方の記事を羨ましくも自分にはできないと思って読んでいました。
しかし今の時代はSFC修行経験者のブログがたくさんありますし、海外発券自体のハードルが下がっているのでだいぶ実践しやすくなっているかと思います。
すべての修行僧に向いている発券手法ではありませんが、この記事ではANAの海外発券について基本的な仕組み、発券方法、注意事項などを解説していきますから、もし利用する機会があれば是非参考にしてみてください。
なおSFC修行についてまだよく分かっていないよ!という方は次の記事を読んでからのほうが良いかもしれません。
そもそも海外発券とは
そもそも海外発券とは何でしょうか?
海外発券とは “海外” から出発する “チケット” のこと、及びそのチケットを発券する行為のことです。図にすると、こんな感じです。

パターン1、パターン2 と書き分けましたが、どちらも海外発券です。シンガポールやクアラルンプールなど“海外” から出発する “チケット”だからですね。
違うのは目的地で、パターン1では日本が目的地ですが、パターン2では第三国が目的地になっています。ふだん私達が購入しているの日本から出発して日本に帰ってくるチケットを “日本発券” と呼ぶとすると、海外発券では日本だけが目的地にならない点が面白いですね。
海外発券を選ぶ理由は?
さて、海外発券がどんなチケットなのか理解したところで、なぜ海外発券を選ぶ修行僧が増えているのでしょうか。主なメリットは次の3つが挙げられます。
- 予約変更可能な運賃が安い
- アップグレード対象運賃が安い
- PP単価が安い
みなさんも海外発券というキーワードに惹かれたのはこのあたりが理由ではないでしょうか?以下、それぞれのメリットを深掘りしてみたいと思います。
1. 予約変更可能な運賃が安い
既に痛感されている方もいらっしゃるかもしれませんが、修行で利用する日本発券のチケットは予約変更ができない安いチケットが多く、急な仕事の都合や病気等でやむを得ず搭乗を断念せざるを得ない状況になることもあります。
つまり予約変更可能運賃であれば、そういった事態でも無料または少額の手数料で日付や便を変更することができ、安心して予約することができる、ということです。
当ブログで紹介しているメイン修行路線のSINタッチ、SYDタッチも予約変更不可運賃となっています。
SFC修行におすすめな土日完結SINタッチ!最短0泊も選べる6プラン – まるとANAの旅事情
SFC修行におすすめな週末完結シドニータッチ!25,000PP獲得できる全5プラン – まるとANAの旅事情
特に海外発券の場合、 日本 → 海外 → 日本 という動きではなく、 海外 → 日本 → 海外 や 海外 → (日本) → 海外 → (日本) → 海外 という動きになるため、往路か復路のどちらかで日本でストップオーバーをして、1つのチケットを長期間にわたって保持することになります。
海外発券で便利なストップオーバー(途中降機)
ストップオーバー(途中降機)とは、あるチケットの出発地から目的地までの間に途中で降機してどこかに立ち寄ることを示します。ただし乗継と違い、その場所で24時間以上滞在することを意味します。
簡単にイメージ図に落とし込むと、次のとおりです。ストップオーバーは S/O とも書かれ、この赤い吹き出しの部分でストップオーバー、つまりは一旦旅行を中断、もしくはその土地に暫くの期間滞在することが可能です。なお今回は日本でストップオーバーするので、自宅に帰って普段通りの生活をするという意味合いが強いです。

また上記パターン1なら羽田に帰ってきた後、第2旅程の羽田〜石垣〜羽田〜シンガポールと飛ぶまでに約2ヶ月の空白期間があります。この期間に「第2旅程の都合が悪くなって日付を変更したい!」ということが起こったりします。
海外発券では日本(居住地)でのストップオーバーは一般的ですので、予約変更が無料または少額の手数料でできることは非常に大きなポイントです。
2. アップグレード対象運賃が安い
まずはANAの予約クラス一覧を見てみましょう。
座席クラス | 予約クラス | 積算率 | 搭乗ポイント |
---|---|---|---|
ファーストクラス | F/A | 150% | 400P |
ビジネスクラス | J | 150% | |
C/D/Z | 125% | ||
P | 70% | ||
プレミアムエコノミー | G/E | 100% | |
エコノミークラス | Y/B/M | 100% | |
U/H※/Q | 70% | 0P | |
V/W/S/T | 50% | ||
L/K | 30% |
赤字の予約クラスがアップグレード対象運賃です。※が付いているHクラスは、海外発旅程の場合はアップグレード対象運賃ですが日本発旅程では対象外です。
海外発券では、
- 一つ下の予約クラスからアップグレードできる
- 出発地の物価が反映されている
- 成田/羽田をハブとする乗り継ぎ客強化のためチケットが安価
この3点が総じてアップグレード対象運賃が安く販売されているというメリットを生んでいます。
ではここでアップグレード対象運賃がどのくらい日本発と海外発で違うのか、2つの区間の参考例を使って調べてみましょう。
パターン1)日本〜シンガポール区間
■日本発券
往復約17万円〜


■シンガポール発券
往復約10万円〜


このように、同じアップグレード対象運賃でも約7万円の差額がありました。もともと運賃総額としては安価な東南アジア路線でこれだけの差額があるのですから、大きなメリットと言えますね。

もう少し長距離路線で調べてみると、こんなルートでもお得です。
パターン2)日本〜パリ(ヨーロッパ)
■日本発券
往復約30万円〜


■ソウル発券
往復約22万円〜


こちらは 約8万円の差額です。
一旦韓国のソウルまで飛ぶ必要がありますが、韓国旅行 + ヨーロッパ旅行 と一度に二度味わえる…と思えば安くてビジネスクラスにもアップグレードできるこの運賃は日本発券と比べてとても魅力的ですね。

なお当然ながら 羽田〜パリ 区間だけでなく 羽田〜ソウル もアップグレード可能です。実際は2時間ちょっとのフライトなのでアップグレードする必要はないかと思いますが、やろうと思えば全区間ビジネスクラスも可能です。
また最後の韓国行きの便で韓国に戻ってまた別の韓国発券につなげても良いですし、適当なLCCで帰国してもOKです。
なおマイルを使ったアップグレードについての詳細は下記記事でご確認ください。
3. PP単価が安い
最後はやはり修行僧の多くが記にする PP単価の良さではないでしょうか。
各路線のPP単価については後日それぞれ記事をアップしますのでそちらを見ていただければと思いますが、総じてPP単価はお得と言えるでしょう。
個人的にはPP単価の良さ、には大きく分けて2つの意味・理解があると思います。
- 絶対的に安い
- 相対的に安い
まず、次のような発券ではPP単価が絶対的に安いと言えますね。PP単価が5円台なのでそこそこ良い方かと思います。
■クアラルンプール発 石垣行き(予約クラスS)

獲得PP | 9,902PP | 費用 | 55,220円 | PP単価 | 約5.6円/PP |
■クアラルンプール発 福岡行き(予約クラスS)

獲得PP | 7,274PP | 費用 | 42,120円 | PP単価 | 約5.8円/PP |
そして次に相対的に安いチケットは次のようなものです。

獲得PP | 28,576PP | 費用 | 259,400円 | PP単価 | 約9.1円/PP |
PP単価は約9円と比較的ありふれた数字ですが、東京〜シドニーと東京〜パリそれぞれ1往復がセットで約26万円ですので、とてもお買い得…ですね。
もちろんアップグレード対象運賃の予約クラスMなので、全区間ともビジネスクラスへのアップグレードが可能です。またマイル積算率は100%なので、ダイヤモンドステータス保有者だとフライト4回で5万マイル弱も獲得することができます。
ここまでくるとSFC修行僧向けというよりは、プラチナ・ダイヤモンドステータスを毎年継続する方たちやライフタイムマイル修行の方向けだと思いますが、PP単価には絶対的に安い…と、相対的に安い…の2タイプがあるかな?と思います。
海外発券の難しいところ
ここまで海外発券のメリットをお伝えしてきましたが、その特殊性故にデメリットとまで行かずとも”難しいところ”と言えることがあります。それは次の2点です。
- 出発地までの片道航空券を手配する必要がある
- いつかはチケットのループを閉める必要がある
1. 出発地までの片道航空券を手配する必要がある
例えばシンガポール発券をするのであれば、まずシンガポール発券の第一区間である「シンガポール〜東京」に乗るため、シンガポールまで行くチケットを手配する必要があります。最近の修行僧は “赴任” と表現したりします。
(例)シンガポール赴任 = シンガポール発券するためにシンガポールに行くこと
さて、ANAの海外発券をするとき出発地にANAで赴任することは難しいです。
理由として、ANAでは片道の国際線特典航空券が発券できないため、有償の高い片道航空券を発券するか、別の航空会社のチケットで片道航空券を購入するか特典航空券を発券する必要があるからです。
わざわざ有償の高いチケットで赴任していては海外発券の意味が薄れてしまうので、まず選択肢にはなりません。よくあるパターンとしては、
- JAL 片道特典航空券
- LCC 片道有償航空券
- スターアライアンス提携航空会社の片道有償航空券
- 〃 特典航空券
- デルタ航空スカイマイル提携航空会社の片道特典航空券
が挙げられます。
JAL 片道特典航空券
同じ日系のJALさんは片道の特典航空券が発券できるので、JAL修行をしていてマイルがあるよ!ポイントサイトでマイルを買って行く!という方は、これが一番楽かもしれません。安心の日系です。
JALマイレージバンク – JAL国際線特典航空券:ご利用条件(片道でのご利用)
LCC 片道有償航空券
海外発券の主要な出発地になりうる東アジア、東南アジアと日本の間にはたくさんのLCCが就航しています。ソウルならPeach、香港なら香港エクスプレス、クアラルンプールならエアアジアXなどなど。直行便がかなり安価に買えるほか、セールなども駆使するとかなり激安予算で赴任することができます。
スターアライアンス提携航空会社の片道有償航空券
スターアライアンス加盟航空会社でもお安く片道航空券を購入できるところはいくつかあります。まず1番に思いつくのは、エアチャイナです。エアチャイナのビジネスクラスで赴任すると、比較的お得かつ楽楽赴任することができます。
検索はKayakなどを使うとわかりやすいと思います。おすすめです。
スターアライアンス提携航空会社の片道特典航空券
スターアライアンス加盟のアシアナ航空、シンガポール航空など、赴任地のフラッグキャリアが提供する片道特典航空券を利用するというのも面白いですね。特にアメックスを始めとするいろいろな航空会社へマイレージを積算できる方は、これが赴任を楽しくするきっかけになると思います。
また赴任地にもよりますが、個人的にはユナイテッド航空の片道航空券もおすすめです。ユナイテッド航空の特典航空券というとANAの国内線を発券するのに利用している方が多いかと思いますが、当然ながらアジア圏の国際線も発券できます。
https://www.united.com/ual/ja/jp/flight-search/book-a-flight/redeemmiles
僕も次の赴任地では、UAマイルを使ったファースト/ビジネス特典航空券でぐるぐるアジアを回って赴任しようかな、と思っています。ただ、先日のリリースにより今年の冬ダイヤからシンガポール路線ファーストクラスが廃止される可能性があるため、ファーストクラス周遊は少しハードルが高くなりそうです。

デルタ航空スカイマイル提携航空会社の片道特典航空券
当ブログではあまり紹介していませんでしたが、デルタ航空のマイルを貯めている方も多いと思います。それは、ニッポン500というキャンペーンが毎年開催されているからですね。国内線チケット1枚=500マイルと加算されていくので、結構溜まります。
デルタ航空でこのようにマイルを貯めている方は、費用をかけずに貯めたマイルを放出して赴任することもできるでしょう。東京〜ソウルなど、短い区間であればエコノミークラスは7,500マイルあれば乗ることができます。
ビジネスクラスでも15,000マイルなので、大韓航空のビジネスクラスに乗ってビビンバを食べながら赴任…とかも良さそうですね。
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組み合わせ技(遊び)
その他スターアライアンスに加盟はしていませんがANAと提携しているベトナム航空なども手軽な価格でビジネスクラスを販売していたりします。日本発ではないので、東京〜ソウル〜クアラルンプール、となりますが結構良さそうです。

ソウルまでは先程書いた大韓航空のビジネスクラスなんかで行けると楽しいですね。
2. いつかはチケットのループを閉める必要がある
次に、いつかは海外発券を閉じる必要があるという点です。
毎年継続する方は今すぐ考える必要はありませんが、1年間だけプレミアムポイントを集めるSFC修行僧は、最終的に日本へ帰ってくる(チケット的にも、自分自身も)必要があるため、海外発券の終わりを考えておきましょう。
1番心配が少ないのは、1. で書いたような片道航空券を発券するのではなく、ANAの国際線特典航空券で復路を適当な日付またはオープン発券にしておくことで、1年以内に復路の特典航空券で帰ってくる、と決めることです。
特典航空券は往路の出発日から1年間有効ですので、1年以内に赴任地から帰ってくる(=海外発券を終える)予定なら問題なく活用できます。例えば、7月14日に赴任して、年末の12月29日に帰ってくる…などです。

ただ海外旅に慣れている方やしばらく帰任するつもりが無い方は、片道航空券を赴任時・帰任時にそれぞれ買えばいいので、そこまで心配する必要はないかと思います。
海外発券おすすめルート
それでは、実際にどこの国を出発地/目的地とする海外発券チケットがおすすめなのか、順次記事を追加してご紹介していきます。
クアラルンプール発券
①北米(アメリカ・カナダ方面)方面
②日本(羽田・他国内空港)方面
※順次記事を追加予定です。
肝心の発券方法は?
さて、海外発券がどんなチケットなのか理解したところで実際にチケットを購入する方法を知っておきましょう。意外と簡単なのでびっくりすると思いますよ!
出発地に海外、到着地に日本または第三国(日本および出発国以外の国や地域)を選んで、出発日(往路)と現地出発日(復路)の日付を選択するだけでOKです。
(例) 出発地:シンガポール
到着地:石垣
行き: 2017 年 9 月 10 日
帰り: 2018 年 1 月 13 日

ただし実際は予約クラスや経路などを細かく指定して検索することになるので、[複数都市]ボタンをクリックして出て来るこちらの予約画面のほうが良いでしょう。


こんな感じで入力していきます。

アップグレード対象運賃を探したい場合やエコノミー(価格重視型)で検索してエラーになる場合は、エコノミー(変更可型)を選択しておきましょう。
なお搭乗日により空席状況や運賃規則による制限を受けることもあるため、できるだけ☑前後3日の運賃を比較 にはチェックを入れて検索しましょう。
すると、往路・復路それぞれ前後3日(1週間)の運賃一覧が出てくるので適当な日付を選択します。

このとき、同じ日付の中で最安の便が自動的に選択されているので、希望のフライトを選び直しましょう。

また、各フライト到着時刻右下に表示されている[▼]を押すと、そのフライトの詳細が表示されます。これで乗継便の時間や使用機材(飛行機の種類)、シートマップなどを見ることができます。

他にも[ルール表示▼]を押すと、各列ごとの運賃ルールが簡単に確認することができます。ここでは予約変更・払い戻し・アップグレードが可能かどうかが簡単にわかります。

そしてアップグレードが目的の方は、往路復路それぞれフライトの一覧右下に表示されている[アップグレード空席状況を反映]を押すのを忘れないようにしましょう。

この画面から簡単に現在のアップグレード空席状況が確認できます。


空席待ち … アップグレード枠が埋まっており、発券後に空席待ちを申込むパターン
空席あり … アップグレード枠に空席があり、発券後にすぐにアップグレード可能なパターン
空席待ちと表示されていても、実際は0人待ち(誰も空席待ちしていない)場合もあれば、10人待ちなど沢山の人が空席待ちしている場合もあります。もし希望の便が空席待ちであれば、この時点でANA国際線デスクに電話をして何人待ちか聞いてみると良いでしょう。
なお他の便にずらせない場合、特典航空券の空席待ちと違い当日搭乗時刻近くまで空席待ちはホールドされるので、諦めず空席待ちをかけておくのも良いと思います。
ただしノンステータスの方でビジネスクラスの人気路線(羽田〜シンガポール)をアップグレードしたいとなると、空席待ち人数によっては厳しい結果となることがあります。そういう場合は、成田〜シンガポールなど比較的空席が落ち着いている路線を選んでおくのも良いでしょう。
なぜなら、ダイヤモンド・プラチナなど自分よりステータスが高い人が空席待ちを入れるとそちらが優先され、先に空席待ちをしていても追い抜かれてしまうからです。また国内線のプレミアムクラスアップグレードと違って、空席待ちを出し抜く方法は無いかと思います。
アップグレードの空席状況も確認したら、あとは日本発券と同様にフライトの確認画面・登場者情報の入力画面・座席指定画面を経て、支払画面へと進みます。

2015年4月に新しいシステムに変わってから、日本向けサイト・円建て決済・ANA SKYコイン利用 ができるようになり、とても便利で手軽になりました。
いまでは日本発券と同様に
- クレジットカード
- ANA SKYコイン
- 銀行振込
- コンビニ支払
- ネット振込
から選んで支払う事が可能です。
1番のメリットは、ANA SKYコインが利用できることでしょうか。
個人的には「2015年以前は海外発券はお得だけどANA SKYコインが利用できないから現金支出が抑えられなくてフルに活用できなかった」という思いがありました。
まとめ
どうでしょう。
海外発券と言っても、特に発券方法自体は難しくなかったと思います。普段の日本発券とほぼ同じですよね。
また例として取り上げたシンガポールやソウルに限らず、香港、バンコク、クアラルンプールなど東アジアから東南アジア発の海外発券は日本からでも利用しやすいので検討する価値はあるかと思います。
1年間だけ50,000PPを貯めるSFC修行では東南アジアの海外発券が、毎年ステータスを継続する人たちには東南アジアだけではなく欧米路線の海外発券などを取り入れると旅に刺激が出て面白いのではないでしょうか。
ぜひ興味のある方は修行プランに取り入れてみてください。
読んでみたけど海外発券は良くわからん! 不安だ!という方は無難に日本発券をおすすめします。間違いないです(*´∀`*)
参考記事
海外発券でもANAの直行便のみの旅程であればANA SKYコインが利用できます!